2017年8月8日火曜日

20.支持率回復―仕事ぶり見なくていいんですか?

 8月の3~6日に報道各社の世論調査が行われ、安倍内閣の支持率が発表された。
 先月の世論調査結果と比較すると、軒並み上昇である。中には8ポイント以上も上がったものもある。
 

 しかし、そんなに早く内閣の評価を変えてよいのか。
 安倍内閣の第3次改造人事が発表されて、まだ数日しかたっていない。
 改造内閣は、大臣が挨拶したくらいで、まだ何の仕事もしていない。
 評価を変えるなら、仕事ぶりを見てからだろう。

 確か、前回の世論調査では、内閣不支持の理由の一つは、「首相が信用できない」であったはず。その首相は、首相のままで変わっていない。そして内閣と党の主要な布陣も変わっていない。
 副総理・財務は麻生氏、官房長官は菅氏。党の副総裁は高村氏、幹事長は外務大臣から横滑りの岸田氏。そしてこともあろうに、加計問題で渦中の萩生田氏は幹事長代行と、当の中枢に位置づけられた。
 森友問題、加計問題、陸自―防衛庁問題に対する隠ぺい姿勢も変わる気配は見えず、稲田元防衛大臣の審問には同意していない。

 首相は、国民の大多数が反対する数々の法案を強引に成立させては、そのつど「国民に対してて丁寧に説明をしていく」と語ってきた。しかし「丁寧な説明」なるものは、まだ一度もされていない。
 支持するかどうかは、首相が本当に反省して、信頼に値する政治を行うようになったかどうか、その首相の仕事ぶりを見てから判断するべきではないのか。
 

2017年8月4日金曜日

19.共謀罪、277の罪とは?


 5月15日に成立してしまった共謀罪法、マスコミやネットでは多くの人々の懸念が紹介されている。
 しかし、いまひとつ実像が見えてこない。取り締まられる側(一般人も可能性があるということなので)としては、まず、法律の実像をとらえる必要があると思い、対象となる277の罪について調べてみた。
 
 

★大きくは5つに分類される


 277の罪については、法務省が大きく次の5つに分類し、新聞各紙がそれを報道している。
   1.テロの実行に関する犯罪   110
   2.薬物に関する犯罪       29
   3.人身に関する搾取犯罪     28
   4.その他資金源犯罪      101
   5.司法妨害に関する犯罪      9
        計          277

 しかし、それぞれの分類の中は、犯罪名がただ列挙されているだけで、しかも類型が違うものが隣り合って並んでいたりするので、頭の中が整理されにくい。
 そこで、5分類のそれぞれの罪を、さらに罪の類型で分類し、並べなおしてみた。次の5つの表がそれである。

 






 




★共謀罪法は、テロ防止対策になるのか?



 この表に示された277の罪、これについて共謀(2人以上で相談)することを取り締まろうというのが、共謀罪法だということである。
 この法律は、確か、テロ対策として不可欠なものだというのが政府の主張であった。首相が、国会で何度もそう発言していたことを記憶している。

 277の罪を分類整理した結果、まず私の頭に浮かんだのは、「政府は、本当にテロ防止を真剣に考えているのか?」という疑問だった。
 共謀罪法がもたらす「監視社会」「密告社会」の到来への心配の前に、この法律の施行に、もし警察がまじめに取り組んだとしたら、逆にテロは防げないのではないかという懸念が浮かんだのである。

共謀罪法には、昨今の国際的テロ活動を分析・検討し、その防止策として新しく必要と考えられたものが何もない。というのは、それは全て取締の対象となる行動は、既遂の場合に対応する法律がすでにあるものだからである。テロ活動は、日本がこれまで対応してきた犯罪活動の範囲でしか行われないと、政府は考えているのだろうか。

 その一方で、「これがないとオリンピックを安心して開けない」と声高に主張する根拠にはなるとは思えないものがたくさんある。逆に、こんなことまで捜査の対象にしていたのでは、肝心のテロ活動を見逃してしまうのではないかと思えるようなものがたくさんある。

例えば、「2.薬剤に関する犯罪」における大麻の栽培とかケシの栽培。
「3.人身に対する搾取犯罪」における強制わいせつ、児童淫行、児童ポルノ、売春。
「4.資金源犯罪」についてはパレルモ条約批准のためには必要なのかもしれないが、テロ対策と位置づけるものでもないような気がする。例えば、会社や株主の権利を危うくする行為に分類したものなどは、テロ対策と直接結びつくのだろうか。

★現実のテロの分析と、それへの対応のしかたの研究こそ急務ではないか


 諸外国で実行されているテロは、圧倒的に自爆テロ。そしてテロリストの圧倒的多数は、その国における差別や不平等な生活に不満をいだく移民、それに同調した者たち、もしくは難民の中に紛れたISの戦闘員である。
 多くの観光客がやってくるオリンピックが危ないと思うのは、観光客に紛れてそうしたテロリストがやってくる可能性があるからだろう。

 とするなら、共謀罪法はとても有効とは思えない。
 法律よりも必要なのは、いかにして爆発物を所持しているものを発見するか、また発見した時に爆発にまで至らせない方法、被害を最小限度に抑える方法、そうした技術の開発や訓練ではないのか。

 そして、観光客に紛れて入国する可能性のあるテロリストを入国させない、出国させないという入出国の管理のてこ入れも必要ではないか。6月に成田空港で起きたLCC乗客の入国審査素通り事件のようなことでは、目も当てられない。
 加えて空より心配なのが海。一気に何千人と上陸する豪華客船。貨物船でやってくる乗組員。四方を海で囲まれた日本は、荷物に紛れて入ってくるヒアリのように、どこからでもテロリストが侵入してくる状態にある。
 
 日本政府は、共謀罪を本気でテロ対策と考えているのだろうか。
 そうであるなら、その考えはあまりにも的外れで、そうでないなら、別の魂胆があるとしか思えない。


 




























 

 
 

 

2017年6月23日金曜日

18.「共謀罪法」成立!!

 5月15日未明、参議院本会議で「共謀罪法案」が可決された。
 「共謀罪法案」、正式には「組織的犯罪処罰法改正案」といい、犯罪を計画段階で処罰できるようにするものである。

★練られていない法案だったのに・・・


 この法案に対する国内世論は、賛成・反対ともに20数%で拮抗していた。残りの50%以上の人は「どちらともいえない」という答えだが、本音は内容がよくわからないというところではなかったか。
 一般国民どころか、法務大臣が野党の質問に対してあいまいな答弁をしたり、答弁内容が二転三転したり、答弁しようとしたところを首相に遮られ代わりに法務省の官僚が答えたり、果ては「私の頭では対応できない」と発言したり。また首相の発言も、法務省の官僚の見解と食い違っているというありさまだった。
 法律を通そうとする責任者たちの間でも、共通認識がない(内容が理解されていない?)、よく練られていない法案と思われる状況が露呈していた。

 首相は、この条約はパレルモ条約(国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約)を批准するために必要、またテロ対策に不可欠で、これがないと東京オリンピックは開催できないと何度も言っていた。
 しかし、その一方で、多くの専門家たちが、「そこにはウソがある」と反論している。

★パレルモ条約批准に「共謀罪」は必要ない・・・第1のウソ


 日本の法律は、すでにパレルモ条約を批准するのに十分な条件が整っていると多くの学者や弁護士たちが言っている。そして何より、当のパレルモ条約の立案者であるニコス・バッサス教授(米ノースウェスト大学)が、東京新聞やテレビ朝日のインタビューに答えて、次のように言っている。
 
 「パレルモ条約は経済的利益や物質的利益を目的とする犯罪行為に対応するもの」「組織化された犯罪行為と闘うためのもの」であって、テロのように思想に由来する犯罪に対するものではない。
 そして、条約の批准については、「批准の審査をする機関はなく」「条件を満たしていなくても各国が批准することが可能だ」、さらに「日本は対応する法律が十分整備されている」と語っている。

 したがって、パレルモ条約を批准するには、まず、政府が国会に「パレルモ条約に批准したいんですけど」と提案すれば、それに反対している議員はいないのだから、すぐ議決されるはずで、それを受けて、政府代表が国連本部に行って批准書にサインすればすぐ批准されるということなのである。

 つまり、パレルモ条約の批准には、共謀罪法案の成立は必要なかったということである。
 政府は、「ウソ」をついていたことになる。


★「共謀罪」はテロ対策にはならない・・・第2のウソ


 バッサス教授はテロ対策についても言及している。これは2002年の9.11事件をきっかけとして国際懸賞に基づいた決議をしていて、「主要なテロ対策条約はすでに批准され法整備も完了」しているという。そして、「東京オリンピックのようなイベントの開催を脅かすようなテロなどの犯罪に対しては、現在の(日本の)法体系で対応できないものは見当たらない」と語っている。
 東京にオリンピックをを招致した際、安倍首相は「東京は世界一安全な都市」と名言したもには、そうした背景もあったからだと思われる。東京が世界一安全な都市にランキングされたのもつい昨年のことである。

 その東京が、いつ共謀罪法案が通らなければオリンピックを開催できないほど危険な状況になったというのは、何をもって言うのだろう。現在各国で発生しているテロ事件をとらえて、心配しているのか。10年以上も前の法整備では間に合わないという心配なのだろうか、
 
 しかし、その意味では、「共謀罪」だって役に立たないと、専門家は言う。
 共謀罪は、既に犯罪として法律で定められている277の罪を、計画の段階で犯罪とするという法案でしかなく、その277の罪の内容は、現在世界の各国で起きているテロの方法やテロに至った原因を研究してつくられたものではないからだという。

 となると、東京オリンピックのためのテロ対策というのも、これもどうやらウソだということになる。


★日本の、そして世界の識者たちが心配する「共謀罪」


 この共謀罪は、「表現の自由とプライバシーの権利を脅かす」として、国連人権理事会の特別報告者や世界ペンクラブ会長を始めとする内外の識者の懸念の声が上がっている。
 しかし、私を含めて多くの人が、今一つその懸念が実感を持ってとらえられていないのではないだろうか。だから、世論調査でも賛成・反対が拮抗しているし、半数以上がどちらともいえないと答えているのだろう。反対運動に盛り上がりが見えないのはそのためではないか。
 
 識者たちは、なぜ「共謀罪」が危険な法案であると言えるのか。
 私たちも、その懸念を共有できるようにならなくてはならない。
 また、内容をしっかりつかんで、こんなものじゃ「テロ対策」にはならない、と政府にはっきりと抗議できるようになる必要がある。
 
 それが、成立してしまった共謀罪に対して、私たち国民がとるべき行動の第一歩だと思う。
 

 

 
 



 







 


 

2017年6月15日木曜日

17.「失われつつある沖縄の自然」写真展

 「辺野古の海・高江の森 失われつつある沖縄の自然」という写真展を見た。
 辺野古(へのこ)というのは、言わずと知れた、米軍基地の海上滑走路建設の進む沖縄県名護市の辺野古だ。また、高江(たかえ)というのは、米軍のヘリパッド建設が進む同県国頭郡東村(くにがみぐんひがしそん)高江である
 写真展は、東京清瀬の市民グループが開催したもので、駅前の商業ビルの4階、通路と言った方がよいようなささやかなコーナーで開催されている。



  展示されている数十枚の写真は、沖縄の自然の美しさと、沖縄に過重に課せられた安全保障の役割のゆえにそれが失われてゆく現状を伝えたいと、写真展運動をしているグループから借り受けたものの一部で、長く沖縄の自然を撮影し続けているプロの写真家や、一般市民から寄せられたものなど、沖縄の自然を愛する人々の心が詰まった作品群である。

 あまりにも青く美しい海の色、緑の木々、そこに生息する多様な生き物たちが作り出す豊かな世界に心を打たれる。声高に滑走路反対、ヘリパッド反対を訴えているのではない。むしろ淡々と、海の美しさ、森の豊かさ、生き物たちの健気さが表現されている。それだけに、これらが失われていくことに対する悲しみが伝わってくる。

 滑走路建設のために投げ入れられた巨大なコンクリートブロックに押しつぶされたサンゴ、ヘリパッド建設のために刈り取られ、丸く穴のあいたような森の一角。これは暴力としか言いようがない。
 一枚だけ、住民たちの姿が写された写真が展示されている。高江のヘリパッド建設を止めたいと、建設地に続く道路に座り込んだ住民たちの姿を撮影したものだ。長く前方にのびる道路に、座り込む住民の背中が点々と続いている。
 その背中は泣いているように見えた。一緒に座りたくなった。
 沖縄がかわいそうすぎるじゃないか・・・

★下の写真は、写真展を紹介した新聞記事



★最終日に上映される映画の紹介






2017年5月14日日曜日

16.憲法違反ではないかと思うこと

首相主導の憲法改正への違和感


 安倍首相は「憲法改正の機運は熟した」として、改正憲法の2020年施行を目指す方針を示した。しかし、首相が声高に改憲を叫ぶのは、憲法に照らしてどうなのか。

 憲法第99条
  天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官、その他の公務員は、
  この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

 99条は、権力を持つものによって、国民の権利が侵されないようにするための歯止めの条項である。国務大臣は、憲法を尊重し擁護しなければならないとしている。その国務大臣の一人であり、長である首相は、当然この憲法を尊重し擁護する義務を負っている。


 「憲法改正の機運」は熟したのか?


 首相は何をもって「憲法改正の機運は熟した」と言っているのだろう。
 憲法施行70周年を迎えた今年、報道各社は、憲法改正についての世論調査を行った。それによると、確かに憲法改正が必要という回答が、必要なしを上回っている状況だ。
 (下記にあげた結果では、必要なしを上回っているのは朝日新聞のみである。)


 国民の意見はいよいよ改正派が上まわった、本当に機は熟したのかと思いきや、改正が必要だという意見はむしろ減少傾向にある。NHKの調査では、改憲必要だという意見のピークは15年前(58%)で、今回はそれより15ポイント落ちている。
 (20代では、改正必要なしの方が多くなっており、若い層でこの傾向が強いということが伺える。)


 朝日新聞の調査においてもこの傾向は同じで、13年前(2004年)の調査では改正必要53%であったのが、今回の調査では12ポイント落ちて41%となっている。
 改正必要という意見が減少したということについて、それをどう読み解くのかは難しいが、朝日新聞の調査には興味深いデータが示されている。安倍政権下における改正に賛成かどうかについての質問で、その結果は下記のようになっている。

   2017年  賛成38% 反対50% (現安倍内閣)
   2007年  賛成40% 反対42% (第一次安倍内閣)



国民は早急な憲法改正を望んでいない


 朝日新聞では、憲法改正に向かう国民の姿勢も聞いている。

  憲法改正は優先的に取り組む課題か  はい 33%  いいえ 62%
  現行憲法は日本にとって良かったか   はい 89%  いいえ  3%
  憲法改正の議論は深まっているか    はい 16%  いいえ 82%

 憲法は日本国の最高の法規とされているものであり、それは国民の基本的人権を守るための法規なのである。したがって、その改正を論議すべきは権力を持つものではなく、国民でなければならない。国民自身が優先的課題と考えてもいないし、議論が深まってもいないと感じているのであるから、どう間違っても、改正の機運が高まったなどとは言えない。
 改正するのかしないのか、改正するならどう改正するのかは、国民自身がもっともっと議論し、考えていかなければならないことなのである。


憲法改正を論議すべきは、首相ではなく国民


 次に紹介するのは、今から60年前の憲法調査会の公聴会にて、憲法の改正に対する内閣の姿勢について戒能通孝(かいのうみちたか)氏が述べたものである。多くの法律の専門家たちは、「法律の読み解くうえでの最も重要なことは、その法律が実現しようとしている理念をくみ取ることである」と言っているが、戒能氏は、まさしく日本国憲法の目指しているところに立って、その読み解き方を私たちに教えてくれている。


第24回国会 衆議院内閣委員会 憲法調査会法案公聴会(1956年3月16日)
 公聴人 戒能通孝氏(東京都立大学教授)の発言

 憲法の改正は、ご承知の通り内閣の提案すべき事項ではございません。
 内閣は憲法の忠実な執行者であり、また憲法のもとにおいて法規をまじめに実行するところの行政機関であります。したがって、内閣が各種の法律を審査いたしまして、憲法に違反するかどうかを調査することは十分できます。

 しかし憲法を批判し、憲法を検討して、そして憲法を変えるような提案をすることは、内閣には何らの権限がないのであります。この点は、内閣法の第5条におきましても、明確に認めているところでございます。(中略) 内閣法のこの条文は、事の自然の結果でありまして、内閣には憲法の批判権がないということを意味しているものだと思います。(中略) 内閣には憲法改正案の提出権がないということは、内閣が憲法を忠実に実行すべき機関である、憲法を否定したり、あるいはまた批判したりすべき機関ではないという趣旨をあらわしているのだと思うのであります。

 憲法の改正を論議するのは、本来国民であります。内閣が国民を指導して憲法改正を企画するということは、むしろ憲法が禁じているところであるというふうに私は感じております。(中略)
 元来内閣に憲法の批判権がないということは、憲法そのものの立場から申しまして当然でございます。内閣は、決して国権の最高機関ではございません。したがって国権の最高機関でないものが、自分のよって立っておるところの憲法を批判したり否定したりするということは、矛盾でございます。こうした憲法擁護の義務を負っているものが憲法を非難する、あるいは批判するということは、論理からしてもむしろ矛盾であると言っていいと思います。















2017年5月12日金曜日

15.憲法97,98,99条

 憲法を改正しようという動きが本格的になっている。
 5月3日の憲法の日、安倍首相は2020年を新しい憲法施行の年としたいと述べた。
 安倍一強の情勢に加えて、国会での憲法改正勢力は3分の2を超えているので、国会発議は近いうちに行われると覚悟しなければならない。発議されれば、当然の結果として改正のための国民投票の実施が決定されることになる。
 私たち国民は、その改正の内容が正しいものであるかどうかを判断する力を持たなければならない、ということである。

 憲法改正にあたっては、改正案が示され、それが妥当であるかどうかを判断しなければならないが、個々の条項について考える前に、私たちはどういうものであるかを、しっかりとらえておく必要がある。現行憲法は、国民の基本的人権を守るという理念のもとに作られたものだということを、である。
 そのことは、97条 98条 99条 にはっきりと示されている。

 97条、98条、99条というのは憲法の最終章(補足をのぞく)である「最高法規」と位置づけられた十章を構成する3つの条項である。


≪十章 最高法規≫

第97条 
 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

第98条
 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅、及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。

第99条
 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。


 憲法というとすぐに、戦争放棄をうたう第九条を思い浮かべがちであるが、実は、この3つの条項こそ私たち国民が最も大事にしなければならないものであると思う。
  97条は、永久不可侵の基本的人権を保障することを
  98条は、憲法に反する法律は無効であることを
  99条は、国の権力者及び公務員の憲法尊重擁護義務を負うことを
定めている。つまり、この3条項は、権力によって国民の基本的人権が侵されないようにするための要の条項なのである。この3つの条項によって、他の条項の成立が保障されているのである。その意味で、憲法改正の案を検討するとき、第一にここが崩されていないか銅貨を、そして、この条項と改正条項の案とが矛盾していないかどうかを見極めることが重要だと考える。





 

14.食品ロスをなくせ

 「食品ロス」が世界的課題になっている。
 「食品ロス」とは、まだ食べられるのに捨てられる食品、無駄に捨てられる食品のことを言う。
 日本では1年に632万トンの食品ロスが発生しているという。
 これは、世界で飢餓に苦しむ人に対する食糧援助量約320万トン(平成26年)の倍である。
 
 食品が食べられずに捨てられた原因は、①鮮度の低下、腐敗、カビの発生 ②賞味期限、消費期限が過ぎた ということだという。なんという無駄をしているのかと腹を立てていたら、私の住むマンションでも、危うく食品ロスを生み出すところだった。

 ★★★

 3月初め、毎月1回発行される管理組合便りの中に、「防災備品の缶詰の処分について」という1項があった。2年ほど前に備品として購入したもののうち、200個ほどを廃棄するというのだ。
 「缶詰って保存食品でしょう。それをなぜ捨てるのか」と私は監理員に聞きに行った。
 すると、2月の理事会で決めたのだという。缶詰の賞味期限は3年で、備品の一部が3月末で賞味期限切れになり、残りのものも漸次切れていくので、捨てていくことになるというのだ。

 「でも3年というのは賞味期限であって、消費期限ではないでしょう。賞味期限は、メーカーが味を保証する期間ということで、食べられなくなるということではないはず。それを捨てるってどうなの?」
 「以前、東京都が防災備品として保存していた10年前の缶詰を、食べられるかどうか実験調査したという報告を新聞で読みましたよ。どこかの大学に協力してもらっったちゃんとした実験で、それによれば何の問題もなく食べられたということでしたよ。」
 矢継ぎばやにまくしたてる私に監理員は、自分も全く問題ないと思うのだが、理事の皆さんが決めたことなので、と申し訳なさそうに言う。
 「じゃあ、私が理事会に手紙を書きますよ。大丈夫だという根拠を書いて。それでも捨てるというなら、私が買い取ってもいいですよ。平気、食べるよっていう人に配るから。」


★★★

 念のため、ネットを使っていろいろ調べてみたところ、「缶詰の消費期限は半永久的である」という缶詰協会の人からの情報もあった。食品衛生法で賞味期限を決めて表示しなければならないので、3年となっているという。缶詰の中は真空なので、缶が破損しているというようなことがなければ腐敗するということはないそうだが、真空内でも発酵は進むので、味が変わるということもあるため、「まあ10年ぐらいのうちに食べてください」という話だった。
 英国ではすごい実験が行われていた。134年前の南極探検隊が残した缶詰を食べてみたというのである。結果はというと、味に変化があったが、品質的には問題なしということだったという。
 以上のような情報を書き連ね、私は管理組合の理事会あてに手紙を書いた。
 
 しばらくして、理事会から各戸に「賞味期限の迫っている缶詰を配布します」として、希望者は指定された日時にミーティングルームに来るようにという案内が配布された。
 配布当日、三々五々住民がやってきた。「何の問題もないですよね」と口々に言いながら、各自欲しいものを選んで持ち帰った。(やれやれ)

 ★★★

 食料自給率40%以下。材料を世界中から買い込み、作り過ぎ、買い過ぎ、捨ててしまう日本。
無駄に捨ててしまうというだけでなく、食材の価格を上げてしまうことにもつながっている。
 食品ロスの約半分の320万トンは、家庭から発生しているという。
 一人一人が心にとめて行動すれば、食品ロスを減らすことができるはず。
 
 消費期限と賞味期限は違うことを、しっかり把握しよう。
 そして、「賞味期限すぎてる、捨てよう」じゃなく、「これ賞味期限は過ぎてるけど、どう? 大丈夫かな」と確かめる姿勢を持とう。
 大事なのは、目の前のものを見てそれが大丈夫かどうかを判断する力をつけること。
 食べられる状態かどうか、色や形状、においや味で判断する力。
 「色は変わってないね。においも問題ない。味見してみようか。」

 人間の力をみがいて、食品ロスを減らそう!