2016年10月19日水曜日

3. 「断じて許さない!」でよいのか

 聞くたびに気になる言葉がある。
 「断じて許すことはできない。強く抗議します」という言葉だ。
 9月5日、北朝鮮が日本の排他的経済水域内に3発のミサイルを撃ち込んだということに対する日本政府がこの言葉で抗議した。その前に北朝鮮が洋上からミサイルを発射した際(8/3)、さらに遡って6月22日のミサイル発射の際にも、この言葉を聞いた。安倍首相の口から聞くことが最も多い。
 そしてこの言葉には、たいてい我が国の、あるいは国際的な「安全保障上に重大な脅威」ということばが組み合わされている。
 この一連の言葉には、いったいどういう効果があるのかと考えてしまう。

 北朝鮮の行為を抑止するという意味での発言と考えているのなら、まず、それは逆効果だと言わざるを得ない。それは、ごく一般的な言葉に置き換えて考えてみると、よくわかる。
 相手のとった行為に対して、「それは私たちの生命を脅かす危険な行為だ。だから絶対に反対しする」と言っているのである。相手が、脅す目的でやっている行為に対して、その効果があったと言っていることになる。相手は「してやったり」と思うだけのことである。
 いくら強い口調で「断じて許さない」と言ってみたところで、何の効果もない。単なる強がりにしかならない

 一方、韓国政府は今回のミサイル発射について、「国際的緊張を高めるだけで、何の効果もない」というコメントを出していた。北朝鮮に対して「無駄なことはやめた方がよい」という忠告とも思われるメッセージであった。韓国にとって北朝鮮は、同朋の国であるから、そうした発言になるのかもしれないが、これはなかなか良い感じのメッセージだと感じた。日本も、この方向でメッセージを出すのがよいのではないか。

 北朝鮮に対して「ミサイル発射で脅すというのは、あなたたちの国にとって得策ではない」ということ、「国際協調の中で生きていくべきだ」ということ、「このままあなたたちがこのような行動をとり続けるのなら、世界の中で孤立し、未来を失うだけだ」ということを伝えるのである。
 「かつての我が国の失敗を振り返って、心から忠告する」と言えれば、さらに効果的だと思う。

                                 (平和国家日本からのメッセージを考える)

  
 

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