「食品ロス」が世界的課題になっている。
「食品ロス」とは、まだ食べられるのに捨てられる食品、無駄に捨てられる食品のことを言う。
日本では1年に632万トンの食品ロスが発生しているという。
これは、世界で飢餓に苦しむ人に対する食糧援助量約320万トン(平成26年)の倍である。
食品が食べられずに捨てられた原因は、①鮮度の低下、腐敗、カビの発生 ②賞味期限、消費期限が過ぎた ということだという。なんという無駄をしているのかと腹を立てていたら、私の住むマンションでも、危うく食品ロスを生み出すところだった。
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3月初め、毎月1回発行される管理組合便りの中に、「防災備品の缶詰の処分について」という1項があった。2年ほど前に備品として購入したもののうち、200個ほどを廃棄するというのだ。
「缶詰って保存食品でしょう。それをなぜ捨てるのか」と私は監理員に聞きに行った。
すると、2月の理事会で決めたのだという。缶詰の賞味期限は3年で、備品の一部が3月末で賞味期限切れになり、残りのものも漸次切れていくので、捨てていくことになるというのだ。
「でも3年というのは賞味期限であって、消費期限ではないでしょう。賞味期限は、メーカーが味を保証する期間ということで、食べられなくなるということではないはず。それを捨てるってどうなの?」
「以前、東京都が防災備品として保存していた10年前の缶詰を、食べられるかどうか実験調査したという報告を新聞で読みましたよ。どこかの大学に協力してもらっったちゃんとした実験で、それによれば何の問題もなく食べられたということでしたよ。」
矢継ぎばやにまくしたてる私に監理員は、自分も全く問題ないと思うのだが、理事の皆さんが決めたことなので、と申し訳なさそうに言う。
「じゃあ、私が理事会に手紙を書きますよ。大丈夫だという根拠を書いて。それでも捨てるというなら、私が買い取ってもいいですよ。平気、食べるよっていう人に配るから。」
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念のため、ネットを使っていろいろ調べてみたところ、「缶詰の消費期限は半永久的である」という缶詰協会の人からの情報もあった。食品衛生法で賞味期限を決めて表示しなければならないので、3年となっているという。缶詰の中は真空なので、缶が破損しているというようなことがなければ腐敗するということはないそうだが、真空内でも発酵は進むので、味が変わるということもあるため、「まあ10年ぐらいのうちに食べてください」という話だった。
英国ではすごい実験が行われていた。134年前の南極探検隊が残した缶詰を食べてみたというのである。結果はというと、味に変化があったが、品質的には問題なしということだったという。
以上のような情報を書き連ね、私は管理組合の理事会あてに手紙を書いた。
しばらくして、理事会から各戸に「賞味期限の迫っている缶詰を配布します」として、希望者は指定された日時にミーティングルームに来るようにという案内が配布された。
配布当日、三々五々住民がやってきた。「何の問題もないですよね」と口々に言いながら、各自欲しいものを選んで持ち帰った。(やれやれ)
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食料自給率40%以下。材料を世界中から買い込み、作り過ぎ、買い過ぎ、捨ててしまう日本。
無駄に捨ててしまうというだけでなく、食材の価格を上げてしまうことにもつながっている。
食品ロスの約半分の320万トンは、家庭から発生しているという。
一人一人が心にとめて行動すれば、食品ロスを減らすことができるはず。
消費期限と賞味期限は違うことを、しっかり把握しよう。
そして、「賞味期限すぎてる、捨てよう」じゃなく、「これ賞味期限は過ぎてるけど、どう? 大丈夫かな」と確かめる姿勢を持とう。
大事なのは、目の前のものを見てそれが大丈夫かどうかを判断する力をつけること。
食べられる状態かどうか、色や形状、においや味で判断する力。
「色は変わってないね。においも問題ない。味見してみようか。」
人間の力をみがいて、食品ロスを減らそう!
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