2017年5月12日金曜日

15.憲法97,98,99条

 憲法を改正しようという動きが本格的になっている。
 5月3日の憲法の日、安倍首相は2020年を新しい憲法施行の年としたいと述べた。
 安倍一強の情勢に加えて、国会での憲法改正勢力は3分の2を超えているので、国会発議は近いうちに行われると覚悟しなければならない。発議されれば、当然の結果として改正のための国民投票の実施が決定されることになる。
 私たち国民は、その改正の内容が正しいものであるかどうかを判断する力を持たなければならない、ということである。

 憲法改正にあたっては、改正案が示され、それが妥当であるかどうかを判断しなければならないが、個々の条項について考える前に、私たちはどういうものであるかを、しっかりとらえておく必要がある。現行憲法は、国民の基本的人権を守るという理念のもとに作られたものだということを、である。
 そのことは、97条 98条 99条 にはっきりと示されている。

 97条、98条、99条というのは憲法の最終章(補足をのぞく)である「最高法規」と位置づけられた十章を構成する3つの条項である。


≪十章 最高法規≫

第97条 
 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

第98条
 この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅、及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。

第99条
 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。


 憲法というとすぐに、戦争放棄をうたう第九条を思い浮かべがちであるが、実は、この3つの条項こそ私たち国民が最も大事にしなければならないものであると思う。
  97条は、永久不可侵の基本的人権を保障することを
  98条は、憲法に反する法律は無効であることを
  99条は、国の権力者及び公務員の憲法尊重擁護義務を負うことを
定めている。つまり、この3条項は、権力によって国民の基本的人権が侵されないようにするための要の条項なのである。この3つの条項によって、他の条項の成立が保障されているのである。その意味で、憲法改正の案を検討するとき、第一にここが崩されていないか銅貨を、そして、この条項と改正条項の案とが矛盾していないかどうかを見極めることが重要だと考える。





 

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