2018年11月20日火曜日

38 最新の道徳教育

某国では、新しい道徳教育の方針を発表した。いや、すでに首脳自ら行動で示しているらしい。
下記がその内容である。

 1.ウソも言い続ければ、本当になる。

 2.力あるものはズルをしても許される。(ないことにできる。)

 3.前に約束したことを違えるときは、謝らないで正々堂々と「新しい判断」だと言う。

 4.目上の人を大切に。責任は下のものがとる。(世の中はしょせん不公平なのだから。)

 5.長いものには巻かれる。力あるものに従っていれば出世する。

 6.友だちを大切にする。
    例:自分にとって大切な友人は、ルール違反であろうとなんだろうと、ウソをついてでも守る。

 7.公私を使い分ける。
    例:費用は「公人」として遣うが、行動の責任については「私人」なので負わない。

 8.目先のことを優先する。出てきた問題の解決は、後の世代にまかせる。
    例:赤字国債をどんどん発行して、省庁が思い切って予算を使えるようにする。

 9.不安を生まないように、問題点が見えないようにする。
    例:国債を日銀に買わせ、価格が下落しないようにする。
    例:年金基金で株をたくさん買って株価を上げ、景気がよくなっているように見せる。
    例:問題が出てこないように調査の仕方を工夫したり、良いデータのみ公表する。


このほかにも、まだあったようだが、とりあえず・・・

2018年11月15日木曜日

37 今年の漢字

 毎年12月に、今年一年を象徴するに最もふさわしい漢字を全国より公募し、最も応募数の多かった一字を今年の漢字として、京都の清水寺で貫主が揮毫する。もう20数年続いている、冬の風物詩だ。その募集が11月1日から始まったという。

 しかし、今年は既に9月ごろから、今年の漢字はこれ、とうわさされている字がある。
 少し気が早いとは思いつつ、確かにそれは今年を代表するのふさわしい漢字だと、私も思った。
 その字は、「嘘(ウソ)」という字である。


 今年は、年の初めから、日本中が嘘(ウソ)まみれになっている。実際には、それよりかなり前からそれは始まっていたのであるが、今年はそれが噴出し、国民の目にさらされたのである。

政治家・官僚


 政治家のウソ。中心は言わずと知れたあの人だ。そしてその側近、そしてお友だち。
 議会で追及され、それをかわすためにまたウソをつかなければならない、という構図が見えた。恥の上塗りならぬ、ウソの上塗りだ。
 政治活動費の使い方のウソもあった。国会議員にもあったが、地方議員にも多く見られた。

 官僚のウソもあった。これは、かの政治家の「ウソ」をごまかすための「ウソ」が多かったが、法案を無理やり通すための「ウソ」のデータもあった。

 高度プロフェッショナル法案の必要性を調べるために事前に行ったとされる聞き取り調査は、実際にはやっていなかった。法案要綱作成後に後付けで行った聞き取り調査もたった5社12人、しかも全員が企業側が選んだ人間で、会社側の人間が同席しての聞き取りだったときては、あまりにもいい加減なデータだと言わざるを得ない。
 
 統合型リゾート推進法案(通称IR法案、またの名はカジノ法案)を通すために国が作った法案もウソくさかった。利用者の大半が外国からの観光客であるという前提のもとに作り上げられていたが、最近の海外からの観光客が日本に求めているものを分析している専門家たちは、そういうことは考えられないと発言しているし、IRを導入しようとしている自治体さえも利用者の多くは日本人であると予測している。

企業・銀行


 多くの企業、特に製造業でウソが蔓延しているということも、明らかになった。
 神戸製鋼、三菱マテリアル、三菱自動車、スバル、スズキ、日産、マツダ、ヤマハ発動機、コスモエネルギーホールディングス、東レ、宇部興産・・・皆、一流とされている企業である。
 製造データの偽装が中心で、中には20年来の偽装というものもあった。技能実習生への計画外作業というものもあった。

 堅いとされた銀行も例外ではなく、会社ぐるみで行われたスルガ銀行、東日本銀行、みちのく銀行での不正融資や、融資関係書類の改ざんは、長く続く低金利政策による銀行業界の地盤沈下とも関連して大きな問題として取り上げられた。

障害者雇用でも


 そして秋口になって明らかになったのが、官公庁における傷害者雇用の水増し問題。障害者
手帳が交付されておらず障害者とは認定できないものを障害者として雇用し、あたかも法定雇用率を満たしているかのように、ウソのデータを作り上げたのである。
 行政では、内閣官房を始めとする27省庁、立法では衆議院事務局など4機関、司法では最高裁、高裁、地裁、家裁の各裁判所と、国の機関の8割が、そしてなんと障害者雇用の監督責任を持つ厚生労働省までもが水増しを行っていたのである。
 10月22日、この問題の調査にあたった第三者委員会は、水増しされた人数は3809.5人であったと、発表している。
 
 このほかにも、37都道府県、2政令都市、5市町村でも水増しが確認されており、日本国中にウソが蔓延している感じだ。

子どもたちに対して


 道徳が教科になり、小学校で道徳の教科書が使われるようになった今年。
 何という皮肉だろうか。道徳の教科書に書いてあることと、大人たちのやっていることは違う、ということを子どもたちに伝えてしまった。
 子どもたちにTVニュースは見ないように、新聞は読まないようにと言わなくてはならないのだろうか。
 それとも、勉強と現実とは違うのだから、と教えなければならないのだろうか。
 強くなれ、えらくなれ、そうすればウソをついてもいいんだ、と教えるのだろうか。
 しらばっくれていればいいんだ、そのうちみんな忘れるから、と教えるのだろうか。



★今年の漢字、清水寺での揮毫は12月12日だそうである。

 
 

 

 
 
 

2018年11月3日土曜日

36 もしも首相官邸に米軍機が落ちたら

 事務所の窓から時折、横田基地の方角から都心に向かって飛んでいくヘリコプターを見かけます。いつも昼少し前です。日米合同委員会が月2回開催されており、六本木にあるヘリポート(これも米軍基地です)に、在日米軍の高官を乗せていくそうなので、そのヘリコプターではないかと思いながら見ています。
 このヘリが、万一整備不良か何かでコントロールを失い、六本木から目と鼻の先の首相官邸(永田町)に落ちたら、どうなるのでしょうか。

 まさか首相官邸に米軍機が落ちるなんてことは、とお思いでしょうか。
 ありえないとは言い切れません。
 飛んでいるものなのだから、絶対に落ちないとは言えない。
 万が一のことを考えて、そういうときにもきちんと対応できる体制を整えておくのが、国を預かる者の使命、つまり政府の仕事です。


 過去の事例から考えると・・・


 2004年、沖縄国際大学に米軍ヘリが落ちました。大学側の死傷者はありませんでしたが、電話やインターネットの回線は切られ、接触した1号館は損傷、周辺の木々も焼けました。このとき、米軍は消火直後に現場を封鎖、6日後に機体を搬出するまで、大学の関係者どころか、消防・警察・行政の関係者の立ち入りを一切禁じました。
 県知事は上京し、日本政府に対応を求めましたが、米軍に対する具体的な働きかけはなかったそうです。結局、事故機の乗員の使命も明らかにされず、起訴はされたものの、全容は解明されず、その責任を問うこともできませんでした。
 その後大学は、1号館を取り壊し、建て直したそうです。

 もし首相官邸で同様のことが起きたら、米軍は首相官邸を封鎖するのでしょうか。
 政府関係者を始めとして、消防も警察も立ち入りを禁じられるのでしょうか。
 それを関係者は唯々諾々として受け入れるのでしょうか。
 その場合、首相官邸は米軍に乗っ取られたのと同様の状態になり、機能不全に陥ります。
 このことに日本の政府関係者は気づいているのでしょうか。

 まさか、米軍はそんなことはしないだろうと思うかもしれませんが、現在の日米間の取り決めでは、米軍がそう主張すれば断れないと言います。日本の主権を守る法整備がきちんとできていないのです。
 米軍が事故を起こした際に、現場を封鎖するのは、それが日米協定によって許されているからです。事故の検証ができないのは、「軍事機密」ということで、米軍にはそれを明らかにする義務はない、ということも決められているのです。


 米軍のやりたい放題、止められないのか


 沖縄国際大学の事故後、米軍の対応が大きな批判を浴び、事故現場の保全管理・情報交換について、日米合同委員会でガイドラインを作成したといいます。しかし、その後の事故における状況を見ると、そのガイドラインが、逆に米軍に現場占領の根拠を与えた結果になっているという指摘があります。
 日米合同委員会というのは、米軍人と各省庁の官房長、局長クラスの官僚からなるもので、在日米軍に関する取り決めをする実務者会議のことです。メンバーがどのように選ばれるのかはわかりませんが、軍事には疎い官僚たちが、米軍人たちに主導権を握られて、米軍のやりたい放題を生み出していることは間違いないようです。

 オスプレイが横田基地に正式配備された10月以降、首都圏の危険性は大幅に増大しました、何しろオスプレイの事故率は、他の機種の41倍だというのですから。
 首相官邸でなくても、六本木周辺には重要な施設があります。重要施設でなくても、民間の住宅であっても同じです。また、六本木周辺でなくても他の地域でも同じです。
 万が一にでも事故があったら、政府は米軍に対して毅然とした態度をとれるよう、きちんと法整備しておいてほしい。想定外だったなどと、オタオタしてもらっては困ります。
 国内の日本国民を守れずして、安全保障などと言ってもらいたくありません。

 本当に、この状況は変えられないのでしょうか。
 日本はアメリカに守ってもらっているのだからと、我慢しなくてはならないのでしょうか。


 アメリカ公文書では、日本の防衛は“日本の責任”


 アメリカが駐留しているのは日本の防衛のため、と多くの日本人は考えています。
 しかし、それはどうも違うようなのです。

 国際ジャーナリストの春名幹男氏や、沖縄国際大学大学院の前泊博盛教授らのアメリカの公文書調査により、そのことがだんだんはっきりしてきました。
 秘密主義の日本と違って、情報公開の進んでいるアメリカでは、時期が来ると公文書をきちんと公開します。それらを調査すると、その内容は日本政府が説明してきたこととは、だいぶ違っているというのです。
 
 公開された1971年のアメリカの機密文書には、
 「在日米軍は日本を守るためには駐留してはいない。日本の防衛は、日本の責任である」
との記述があるといいます。

 また、安保法制決議の根拠となった2015年の日米新ガイドラインの原文には、
 「日本の防衛には自衛隊が主たる責任(Primary responsiblity)を持つ」
 つまり、日本が武力攻撃を受けた際、責任をもって防衛をするのは自衛隊である、と明記されているそうです。米軍の任務は「あくまで自衛隊を補足するのみ」と書かれており、しかもそこに「かもしれない」という意味の「may」という単語を使っているそうです。
 その原文を外務省は、積極的に日本防衛にかかわるという印象が強くなるよう、随所を作為的に翻訳していると春名氏は指摘し、その理由は、安保法制を可決しやすくするためであったと推測しています。


 米軍が日本に駐留している理由


 確かに、駐留する米軍には、日本を積極的に守るという姿勢は感じられません。本当に日本を守るということなら、もっと日本人の尊厳を守ってしかるべきですから。

 では、積極的に日本を守るという意思がないのなら、米軍は何のために日本に駐留しているのでしょうか。日本に住むアメリカ人、リラン・バクレー氏が作った映画「ザ・思いやりⅡ」の中に、その一端が見えます。

 バクレー氏が青森県の三沢基地で取材した爆撃機のパイロットは、シリアから帰ってきたところだと答えています。ちょうどシリア攻撃があったころです。日本は、米軍の世界戦略の前線基地になっていると、氏は訴えているように思います。「日本人よ、早く気づきなさいよ」と。

 私たちは、「アメリカが守ってくれている」という思い込み(願望?)を捨てて、もっと事実に目を向ける必要があります。
 その事実をもとに、しっかりとアメリカに向かう姿勢を示す必要があると思います。







  

2018年11月2日金曜日

35 埼玉の空はアメリカ?

 JADECの以前の事務所は大きな建物の1階にあったので、空というものをあまり意識したことがありませんでした。今の事務所はマンションの6階、周りはまだ畑の残る低層住宅地なので、窓を開けると目の前にはおおきな空が広がっています。毎朝窓を開けたとき、空の色や流れる雲、遠くに見える木々の緑やその変化を見ることが楽しく、仕事の合間にも窓の外を眺めることが多くなりました。かなたには、都心の高層ビルやスカイツリーも見えるのです。

 しばらくして、よく小型飛行機やヘリコプターが飛んでいることに気がつきました。複数機が編隊を組んで飛んでいくこともあります。形から見てどうも普通の飛行機ではない。軍用機のようなのです。入間基地(自衛隊)も近いしな、訓練でもしているのかななどと思い、さして気にもしていなかったのですが、それはとんでもない事実を示していたのでした。
 「ボーっと生きてんじゃないよ!!」と叱られそう・・・


横田空域


 JADECの事務所にある新座市の上空は、いわゆる“横田空域”というやつです。
 横田基地に駐留する米空軍の管制下にある空域で、東京都の3/4程と、神奈川・山梨・埼玉・群馬の上空のほとんど、そして静岡県・長野県・新潟県の一部を占める広大な空域です。
 (東京都の場合、上板橋駅―中野駅―等々力駅を結ぶ線より西側全部の上空がこの空域に入ります。)

 
 航空機の飛ぶ空間ですから、横田空域は平面的なものではなく、高さもあります。それをイメージ化したものが次の図です。
 
 
 民間の航空路は、この空域を侵さぬように設定されています。
 不測の事態が起きて、この空間を飛ばなければならない状況になった時には、米空軍管制部の許可を得て飛ぶことになります。しかし、米空軍と日本の管制本部とは無線の周波数が異なるため、その切り替えを行わなければなりません。魔の時間帯である離陸直後、着陸直前、そして危険な状況下における余計な操作は負担になるといいます。
 
 

日本の空を自由に飛ぶ米軍

 
 一方、米軍機はこの空域をいつでもどんな高さでも自由に飛べます。
 
 日本の航空法上では、飛行の最低高度基準は人口密集地300m、その他の地域150mとなっていますが、米軍はそれを無視して飛んでいるのが現実です。60mほどの低空飛行もたびたび報告されています。沖縄はその最たるものですが、ここ新座でもその一端を見ました。
  (33.私の町にオスプレイが来ました 参照)
 
 米国でも日本の航空法と同様の法律があります。米軍は、自国ではそれを守って飛んでいるそうです。沖縄でも、米軍宿舎の上空は飛ばないそうです。
 それなのに、日本国民の居住地域や学校の上空を、平然と低空で飛ぶ。夜間でも飛ぶ。日本国民の安全を考慮していない、というより人間扱いしていないようにさえ思います。
 それに対して、日本政府は文句が言えない、断れない。飛行の高さや時間帯を制限することができない。
 それを許しているのが、日米地位協定です。
 
 横田空域(沖縄を始め、岩国、三沢といった米軍基地の周辺にも、横田空域同様にこうした米軍の管制下にある空域が存在します。
 米軍は自由に使えるが、日本は米軍の許可がなければ使えない。
 日本の空でありながら日本の空ではない、それを決めているのが日米地位協定です。
 
 

羽田新航路を認めない米軍

 
 2020年の東京オリンピックに向けて、羽田空港の発着枠を拡大すべく、新航路の準備が進んでいます。しかし、ここに至って、横田空域の一部をかすめるこの新航路を米軍が認められないと言ってきました。日本政府はさぞ困っていることでしょう。
 
 実際のところ私は、東京の住宅密集地や繁華街の上空を低空で飛ぶことになる新航路には反対です。しかし、その案の撤回の理由は、日本国民が主体的に検討した結果であるべきだと思います。
 
 

これこそ戦後レジーム

 
 首都圏の上空を他国が支配する、これはまさに占領下にあると言ってもおかしくない状況です。
 これこそまさに戦後レジームだと思います。
 国の主権はいったいどこにあるのでしょう。
 戦後レジームからの脱却を声高に主張する彼の人は、このことをどう思っているのでしょうか。
 日本の主権を守るべき、日米地位協定を変えて行く。憲法改正より、その方が先ではないでしょうか。
 
 
 「そうはいっても、日本はアメリカに守ってもらっているんだから、しかたがないんじゃないの」
と考える人が多いかと思います。しかし、それはどうも違うらしいのです。
 アメリカの公文書の調査から、それがわかってきました。
 
 (以下、次稿)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

2018年8月27日月曜日

34 日米地位協定、やっと日本全体の問題になった

 8月14日、全国知事会(会長:上田清司埼玉県知事)が、日米両政府に対して、日米地位協定の抜本的見直しを提言した。
 全国知事会は、故翁長沖縄県知事の「基地問題は一都道府県の問題ではない」との訴えを受け研究会を発足させ、約2年間かけてまとめた「米軍基地負担に関する提言」を、7月27日に札幌で開催された全国知事会議で、全会一致をもって採択したという。

 14日は、上田会長らが外務・防衛両省と、在日米大使館を訪問して提言書を提出。
 報道陣に対して上田知事は「基地のない県も含めて共通の認識を持った」、謝花沖縄県副知事は「沖縄の思いもすべて入っているので、政府は取組をお願いしたい」と話したという。

 全国知事会が、日米地位協定の改定を提言するのは初めてで、下記五項を求める内容である。
  ①米軍の低空飛行訓練ルートや訓練を行う時期の速やかな事前情報提供
  ②日米地位協定を抜本的に見直し、航空法や環境法令などの国内法を原則として適用させる
  ③事件・事故時の自治体職員による迅速で円滑な基地立ち入りの保証
  ④騒音規制措置の実効性ある運用
  ⑤米軍基地の整理・縮小・返還の促進

 今回の提言は、基地のない府県をも含めた、全都道府県の総意であるということで非常に価値のある。日米地位協定が、やっと日本全体の問題になったのである。

2018年8月23日木曜日

33 私の住む町にオスプレイが・・・

私の家から歩いて20分、仕事場からは10分程のところに、ぐるりと金網が張り巡らされて、住民は入ることのできない広い敷地があります。
 大和田通信所、在日アメリカ空軍の通信基地です。新座市と清瀬市にまたがる広大な面積を占めています。(ウィキには約120ヘクタールとあります。そこまで広くない感じですが・・・)




 この大和田通信所に、先ごろオスプレイが飛んできたのです。
 人づての情報で、私自身は実際には見ていませんが、新聞等でも報道されているので、間違いのないところです。
 7月2日夕方のことで、オスプレイは横田基地から飛んできたそうです。
 かなりの低空で旋回し、離着陸訓練も行っていたといいます。
 志木街道の上空でホバリングしていたという情報もありました。
 

大和田通信所というのは


 大和田通信所というのは、かつての大日本帝国海軍の大和田通信所。無線の受信・傍受の施設として使われ、有名な真珠湾攻撃成功を伝える電信「トラ・トラ・トラ」や、ポツダム宣言を受信したところです。
 現在は防衛省所管で、米空軍と共同管理しています。さまざまな形のアンテナがいくつも設置されており、現在もそうした仕事をしていることがわかります。
 米軍機への送信を担っている所沢通信基地(所沢市並木)と合わせて、米空軍をコントロールするための重要な施設であると言えるでしょう。
 そういうところであるので、万が一のことがあれば、真っ先に攻撃目標になる可能性もある、そんな所です。

所沢通信基地


 下は、所沢市並木の航空写真、赤色の線で囲んだ部分が米軍通信基地です。
 大和田通信所にオスプレイが来た同じ日に、オスプレイが飛来したもうひとつの場所です。



 
 所沢市の広報によれば、面積97ヘクタール。地図上では、大和田通信所の8倍ほどの広さがあります。
 黄色の線で示したところは、所沢市役所、市民文化センター(立派な音楽ホールなどがあります)、警察署、裁判所、銀行などが集まった、所沢市の官庁街ともいうべきメインストリート、その目と鼻の先です。(青色の線は、市が要望している東西連絡道路予定地) 周辺には、複数の小学校、中学校、高校があり、病院や障がい者のためのリハビリセンターもあります。
 所沢市のまさに一等地であるこの広大な土地は、所沢市であって所沢市のものではないのです。
 毎日飛行機が離着陸しているわけではありませんが、沖縄でいえば、普天間飛行場のような存在だと言えるでしょう。
 

オスプレイの飛行訓練、知らぬ間に日常化。その先は・・・


 たびたび事故が報告されているオスプレイ、所沢市の広報によれば、7月3日に防衛省北関東防衛局に対して、飛行予定の連絡の要望と低空飛行、旋回をしない旨の申し入れをしましたが、「今後も飛行の可能性がある」との回答を得ただけのようです。その後、7月12日、8月10日にも飛来したとあります。

 横田基地のある福生市の広報からは、もう少し状況が詳しく読み取れます。福生市の広報には「オスプレイ飛来情報」というものがあります。そこには、基地からの離陸があって、着陸があったことが書かれています。つまり、飛び立ってまた帰ってきているのです。週に複数回飛行訓練が行われているようで、最高5基が目視されています。そこから類推すると、横田にはすでに複数機が配備されていると考えた方がよいようです。
 行先は、三沢飛行場であったり、東富士演習場であったり。そうした情報は、北関東防衛局からのもので、米空軍は「運用に関することなので回答できない」という対応だそうです。
 
 福生市、八王子市でも、国に対して低空飛行、市街地旋回などをしないようにとの申し入れをしていますが、こちらもきちんとした回答が得られているようには見えません。
 
 危険な状況に対して、米軍にしっかり申し入れできず、また国民にきちんと説明もされず、いつの間にか日常化していくということは、大変危険なことだと思います。

 夜間訓練が始まっている?


 おととい21日の夜、少し遅い食事をとっていたとき、何かバタバタという音が近づいてくるのが聞こえました。それはやがて遠ざかっていきましたが、しばらくするとまた近づいてきて、また遠ざかっていきました。間隔はかなり空いていましたが、何回か繰り返されました。
 「ヘリコプターみたいね」「何かあったのかね」と窓をあけて、音のする方角をみると、ヘリコプターが見えました。ヘリコプターはさして高くないところを旋回飛行、しばらくして大和田通信所の方角に飛んでいき、だんだん高度を下げ見えなくなりました。
 時間はそろそろ9時になるころでした。

 食卓に戻り、しばらくすると、またその音が聞こえてきました。少し旋回音が続き、そしてまた遠ざかっていきました。離着陸の夜間訓練だったのではないかと思います。
 暗かったため、ヘリコプターがオスプレイであったかどうかは確認できなかったのですが、オスプレイの飛行は、その用途から基本的には夜間なのだそうで、オスプレイであった可能性は多分にあります。
 

日本国として


 日本政府の姿勢はどうなのでしょうか。
 自治体の要望を受け止めて、米軍に対して注文をつける様子は見えません。
 「国民の命を守るぞ」という強い姿勢が見えないのです。
 占領されているわけではないのに、なぜ、米軍にきちんと要求しないのでしょう。
 なぜ、やりたい放題にさせておくのでしょう。
 国の主権をないがしろにするような状態で、基地がおかれていることには疑問、というより怒りを感じます。

 「100%と共にある」と、かの人は言いましたが、アメリカ・ファーストで行くと公言している国と100%共にというと、それはまさにアメリカの属国になりますと言っているというようなものです。
 とんでもない話です。
 
 日本を守るために米軍基地は必要なのでしょうか。
 基地があることが帰って危険を招くという主張もあります。
 本当に国を守るとはどういうことか、国民を守るということはどういうことか。
 そもそも国とは何なのでしょうか。
 本気になって考えなくてはならない時が来ているように思います。
 


★★★
 昨22日、政府は横田基地へのオスプレイを正式配備を10月1日とする旨を発表しました。
 もうすでに配備されており、離着陸訓練もしているのに、これからさらに1カ月以上も先に配備しますって、どういうことでしょう。
 このタイミングでの発表は、米軍から連絡があったからということらしいですが、まさに宗主国と属国の関係を示しています。(ホントに情けないかぎり)

★★★
 米軍基地の70%が集中している沖縄の思いは、いかばかりかと思わざるを得ません。
 どれほどの悔しさ、不安、怒りを積み重ねてきたことでしょうか。
 来月の沖縄県知事選、沖縄の心が一つになり、沖縄県の真の自治が実現することを祈ります。
 


 


 




 
 

 




2018年8月16日木曜日

32 翁長さんの目

 8月11日の土曜日、池袋で行われた集会に、清瀬で市民運動をしている方々と参加しました。


 
 サンシャインビルの北側にある東池袋公園。結構人は集まっていましたが、あまり大きくない公園なのでなので大行動というのは少しさびしい感じでした。(それでも2800人が集まったと後で知らされました。)
 冒頭に、急逝された翁長知事の黙祷をささげ、そのあと、同じ時刻に開催されていた沖縄の県民大会の挨拶が中継され、7万人の人が集まったと報告されると、集まった人々から大きな歓声と拍手がおこりました。

 そのあと、翁長知事の生前の言葉が息子の雄治さんによって語られました。
 「沖縄は試練の連続だ。しかし、ウチナンチュとしての誇りを捨てることなくたたかい続けてきた。ウチナンチュが心を一つにしてたたかうときには、お前が想像するよりも、はるかに大きな力になる。」

 この日、一番印象に残ったのは、デモ行進の列を作りつつあるとき、私のすぐ近くにいた男性が掲げていた大きな写真です。その写真には、安倍首相が写っていました。沖縄慰霊の日に、献花に向かう安倍さんの姿です。
 そして、写真の隅には、その安倍さんを見る翁長さんが写っていました。
 
 


 これは、怒りの目です。
 目の力が凶器となるなら、安倍さんは死んでいるかも、と思わせる強い怒りの目です。
 
 面積、日本国土の0.6%の土地に、70%の基地が集中する沖縄。
 その沖縄に、また新たな基地が作られようとしています。
 沖縄の財産である美しい自然、これからの沖縄の観光資源となるべき美しい自然ををこわして・・・
 世論調査では沖縄県民の70%超が辺野古埋め立てに反対しています。
 その沖縄の民意を一顧だにせず、政府は「粛々と」辺野古埋め立てを進めようとしています。
 もともとは自民党であった翁長さん、その愛のない政治姿勢に、怒りをもって立ち上がった翁長さん。病には勝てませんでした。さぞ残念だったことでしょう。

 なんとか、県民の心が一つになって、大きな力となりますように。
 本土からも、精いっぱい応援したいと思います。

 

31 もっと重大な問題があるのに

 ここしばらくTV各局では、連日ボクシング連盟の問題を報じていた。
会長が反社会的組織の人間と交際していたとか、会長の出身県の選手に有利な判定をしていたとか、大会開催時に会長に過剰な接待をしていたとか・・・

 少し前までは、日大アメフト部の違法タックル問題だった。
 またその前は、レスリングの全日本チーム強化部長によるパワハラ問題。
 またその前は、大相撲の力士間における暴力問題。
 問題が起こるたび、TV各局では毎日のように、結構な時間をかけて報道する。
 朝・」昼のワイドショーにおいては、1時間以上もそれにかけるということもあった。
 関係者を呼び事情をくわしく聞いたり、、背後関係をいろいろ調べたりし、それについてコメンテータたちがああでもない、こうでもないと話し合う。
 微に入り細に入り、つまらないことまで報道する。
 (たとえば、ボクシング連盟会長接待のために県連が用意した〇〇飴だの〇〇県産のブドウだのの写真とか)

 一日ぐらいならやってもよい。
 しかし、1週間も2週間もそればかりだというのはまったくいただけない。
 仮に問題にするにしても、なぜ、こうしてスポーツ界で次々とこうした不祥事が起きるのか、何か根本的な問題、体質的な問題があるのではないか、そうしたことを分析して、改善の方法を探りだすとかするのならよい。だが、いつまでもスキャンダル報道、野次馬的姿勢にとどまっている。
 うんざりして、最近はBSニュースにチャンネンルを変えることもしばしばだ。

 世界でもいいろいろな問題が起きている。
 日本に関係してくる問題や、日本人が考えなくてはならない問題がいろいろあることがわかる。
 国際人として、また地球人として考えなくてはならない重大な問題があることがわかる。
 ただBSニュースは、各国がその国の立場で報道していることを、次々と速いテンポで流すので、そこから自分の問題として取り込んでくるのが難しい。
 日本のTV各局は、そうした問題をぜひ取り上げてほしい。整理してわかりやすく伝えてほしい。

 また、日本国内にだって、スポーツ界の不祥事など問題にならないほど、重大な問題が山ほどある。
 国民の70%近くが反対しているカジノ法案がなぜ通ってしまったのか。
 国民の過半数が望み野党4党が共同で出した原発ゼロ法案はなぜ審議されないのか。
 G7で協議され取りまとめられたプラスチックごみによる海洋汚染に対する具体的対策に関する合意文書になぜ、日本は署名しなかったのか。
 進みゆく猛暑について、抜本的な改善方法、研究はされているのか。TV局は冷房を奨めているだけでよいのか。

 野次馬的に、目先のことばかり追いかけるだけでなく、視聴者の知性と品性を高める方向に舵を切ってもらいたい。視聴者を賢くすること、それがメディアの最も意味ある使命ではないのか。

2018年5月31日木曜日

30 清瀬市では子どもが産めなくなりました

 JADECの事務所は埼玉県新座市にあるが、市の端っこにあり、生活圏は10分歩けば繁華街に出られる清瀬市と東久留米市である。そして私には坂がない清瀬市の方がより身近な存在だ。
 家人も、市民活動を新座市ではなく清瀬市で展開している。

 清瀬市は、地図上では東京都の中ほどよりやや東、その最北端に位置し、埼玉県の所沢市と新座市に挟まれている。利用できる鉄道は西武池袋線で、池袋から約30分、清瀬駅で降りる。南と北の駅前ロータリーからはそれぞれ数路線のバスが、1時間数本ずつ出ており、都会とは言えないが、辺鄙でもない郊外の町で、人口は約7万5千人。

 その清瀬市では、昨年の8月から、子どもが産めなくなった。
 それまで唯一出産ができる病院であった駅前の産婦人科病院が閉院したからである。助産師のいる産院はいくつかあるが、集中治療室(NICU)を備えた新生児の救急対応ができる産院はない。
 つい先ごろの市民活動の集会で、双子の出産を控えた娘がいるという人が、市内では子どもが産めないと悲痛な訴えをしていた。双子は早産になる可能性が高いので、新生児の救急対応が可能な施設でないと受け入れてもらえないという。
 以前、清瀬市には都立の小児病院があったのだが、2010年府中市に移転して以来、NICUがあり新生児の救急対応ができる小児科もなくなったのである。

★病院はたくさんあるが・・・

 以前結核療養所のあった清瀬市は病院の多いところで、清瀬駅の南側一帯は知る人ぞ知るの病院団地状態だ。国立病院機構東京病院を始めとして、救世軍清瀬病院、複十字病院、親愛病院、都共済清瀬病院等が並び立っている。しかし、そのどこにも分娩のできる産婦人科はないのだ。

 この事態は、この5月ですでに9か月続いている。
 市議会で、共産党議員がこの問題を取り上げて、その対処について質問したが、市の対応は「医師会と相談してみる」程度ののんびりした対応だ。4月末の市民集会で窮状を訴えるほどであるから、対応は進んでいないと見える。

 ちなみに新座市の場合も調べてみたが、出産できる医院は3か所ほどあったが、NICUがある病院はゼロだった。2つ隣りの和光市にある国立病院機構埼玉病院に、つい最近やっとできたということがわかった。

★ドラマ「コウノドリ」に見る産科医療現場の過酷な実態

 昨年10月~12月にTBSで「コウノドリ」という、病院の産婦人科を舞台としたドラマが放映された。
 2015年に続く第2シリーズで、医療関係者と患者との関係、夫婦・親子のあり方、そして「命」が生まれる奇跡をテーマにしたものである。
 主人公のモデルは実在の産婦人科医師、実際の病院を取材し、事実に基づいて作成されたものであって、毎回生まれたばかりの赤ちゃんも登場するという、内容も描写も本当にリアルなものだった。
 このドラマの中では、産科医療医療の従事者が働く過酷な環境についても描かれていた。深夜勤務も多く、家にも帰れない医師たちの働きすぎの状況や、一歩誤れば訴訟というような危機もある。ドラマでは、みんなの頑張りで何とか乗り越えていくのであるが、実際には、それに耐えきれず閉鎖していく産科医院も多い。
 昨年11月、日本産婦人科学会は「深刻な人手不足の恐れ」という報告を発表している。医師不足で運営できなくなる恐れのある施設は、高度医療を提供できる施設の約70%、一般参加病院でも半数に上るという。

★求められる国の対策
 
 国はこうした状況にどう対処するのか。
 国は少子化対策を重要課題として挙げている。
 子育て支援、女性活躍社会も重要課題とし、待機児童ゼロ、教育費の無償化を重要政策とした。
   高校学校はすでに無償化がスタートし、幼児教育の無償化も2019年度からスタートするようだ。
 教育無償化に反対する気はさらさらない。
 しかし、子どもを産むまで、そして産んでから学校に上げるまでのところに対しての対策が、あまりにも手薄ではないのか。
 というより、まるで無策だというべきかもしれない。
 どちらかと言えば、教育をタダにするというより、まず、こどもを安心して産める環境、育てる環境を作る方が先ではないのかと思う。
 子どもが産めなければ、幼稚園に行かせることも、学校には行かせることもできないのだから・・・ 

 安心して子どもを産めるような病院をつくるのが先ではなかったのか?
 そしてそこで、産科医師たちが安心して働ける体制をつくるのが先ではなかったのか?
 学生たちが、参加医師をめざして勉強しようと意欲を出す環境をつくるのが先ではなかったのか?
 安心して子どもを預け、 親がしっかり働いて、もう一人子どもを産みたいという気持ちになるような環境をつくることを努力することが、先ではなかったのか。

 そして言うまでもなく、森友学園や加計学園獣医学部をつくることに力をかけるより先に・・・

 
 



 
 
 

2018年4月30日月曜日

29 或る日の新聞

 4月の或る日、我が家に配達された新聞は、第1面から6面までが、書籍などの広告をのぞいて、すべて次の内容で埋め尽くされていた。
 ・加計学園問題(官邸が関係した可能性をしめす愛媛県側の文書発見)に関する記事
 ・防衛省の日報隠し問題の記事
 ・森友学園への国有地不当払下げ問題に関する文書改ざんや、財務局から業者に対する偽証依頼に関する記事

 長期にわたって野党が追及し、政府側が国会で「ない」「していない」と答弁してきたものが、「あった」「していた」ということを証明するような文書や証言が出てきたのである。
 いずれも大きな問題でで、それが一つならずも三つ四つも重なった結果の出来事である。

 国のトップやその周辺の人が、近しい人を優遇したのではないか。
 国民のために仕事をすべき官僚が、本来のあるべきルールを曲げて不正な仕事をしたのではないか。
 官僚が、権力を持つ人々のために、公文書、もしくはそれに準ずる文書を、書き換えたのではないか。
 野党が国会で求めた資料が、政府に都合の悪いものだったので隠したのではないか。
 
 そうではないと政府は言う。膿を出し切ると首相は言う。
 しかし、野党の求める資料は出さない、調査はしないという。
 関係する人々の証人喚問(もしくは参考人招致)は拒否する。
 そうした姿勢から、疑惑はますます深まっている。
 社会面は、識者や町の人々の政府への疑惑、怒りの声で埋まっていた。

 こうしたマスコミによる報道の状況は、この日ばかりではない。
 この日ほどではないが、ずっと続いている。
 そして報道は新聞ばかりでもない。TVや雑誌でも報道される。
 それを見聞きした大人たちの会話もある。
 子どもたちは、そうしたものを見聞きしながら、日々生活している。考え方も身につける。

 この4月、小学校では道徳教育が教科としてスタートした。
 政府肝いりの道徳教育である。



★学校で学ぶことと、実社会での行動のしかたとはちがうと教えているのだろうか。
 
 
 
 

2018年2月2日金曜日

28 適材適所

 確定申告が2月16日から始まるにあたり、立憲民主党の枝野代表が、先月23日の衆院予算委員会で国税庁のトップである佐川宣寿長官の更迭を要求した。しかし首相は、佐川氏を国税庁長官に任じた理由を「適材適所」と答え、更迭を拒否した。

 佐川宣寿氏とは、森友学園問題で、国有地代金8億円値引きの交渉記録は破棄したと繰り返し答弁した、かの人である。(値引きが不当なものであったことは、会計検査院の調査により、ほぼ明らかになった。また、契約途中での交渉記録の破棄も、ルール上問題ありと指摘されている。)
 その人を国税庁長官に任じた理由が、「適材適所」だというのである。

 「適材適所」とは辞書によれば、「その人の能力・性質によくあてはまる地位・任務につける」とある。
 トップの条件については多くの人が語っているが、例えば船井総研の創業者船井幸雄氏の言葉に次のようなものがある。
 「トップの器量以上に組織体は大きくならないし、成長もしない」
 「トップ自らが人材となる努力を惜しまぬこと。そうすれば彼ら(部下)は自然とトップをまねるようになり、人材も育つ」

 「適材」をトップにいただいた国税庁の職員たちは、確定申告を控えて鬱々としているらしい。納税者にたちに「しっかり領収書をそろえて」と言えば、「お宅のトップを棚に上げて、えらそうに言うな」とか「8億はうやむやにするくせに、こんな僅かな金額にはうるさいんだな」などと納税者の怒りをかい、対応に苦慮することが明白だからである。

 首相は本当に、国税庁長官として佐川氏を適材と考えたのであろうか。
 国民の70%ほどが森友学園問題についての説明は不十分とみているのである。その当事者の佐川氏をトップに据えれば、国民の怒りをかうのも、国税庁に働く人々が困惑するのも目に見えていたはずだ。

 佐川氏は、税理士業界紙の新春対談で「ささいな問題でも対応を誤れば信頼を失う」「納税者の皆様の理解と信頼を得て、適正な申告・納税を確保していく」と語ったそうだ。
 しかしこの言葉は、納税者にも国税庁の職員たちにも反発こそあれ、響くことはないだろう。

 国税庁、苦難の1カ月がもうすぐ始まる。
 

27 どこかの国によく似ている・・・ファシズムの初期兆候

 下記の14項目は、米国のワシントンD.C.にある「ホロコースト記念博物館」の“Early Warning Sign of Facism”(ファシズムの初期兆候)と題された展示ポスターに書かれたものであるという。

 1.強力かつ継続的なナショナリズム(Powerful and Continuing Nationalism)
 2.人権の蔑視(Disdain for Human Rights)
 3.団結させるための敵の設定(Identification of Enemies as a Unifying Cause)
 4.軍事の最優先(Supremacy of the Military)
 5.はびこる性差別(Rampant Sexism)
 6.支配されたマスメディア(Contorolled Mass Media)
 7.国家安全保障への執着(Obsession with National Security)
 8.宗教と政治の統合(Religion and Govemment Intertwined)
 9.企業の力の保護(Corporate Power Protected)
10.労働者の抑圧(Labor Power Suppressed)
11.知性や芸術の蔑視(Disdain for Intellectuals and Arts)
12.刑罰強化への執着(Obsession with Crime and Punishment)
13.身びいきや汚職の蔓延(Rampant Cronyism and Corruption)
14.不正な選挙(Fraudulrnt Election)

 この14項目は、アメリカの政治学者ローレンス・ブリット氏が2003年に発表した「Fascism Anyone?」という論文からの抜粋だそうだ。
  ヒトラー(ドイツ)、ムッソリーニ(イタリア)、フランコ(スペイン)、
  サラザール(ポルトガル)、パパドロス(ギリシア)、
  ピノチェト(チリ)、スハルト(インドネシア)
といった歴史上に実在したファシズム体制を分析して抽出した、共通する特徴だという。
 「ファシズムの初期兆候」というより、「ファシズムそのものの特徴」を示したものと考えた方がよいという指摘もある。

 さて、私は、この14項目については、遅ればせながら弁護士の伊藤真さん(法学館法律事務所)の講演会で聞き知ったのであるが、14項目を順番に聞いていくにしたがって、何やら、極めて身近に思い当たる政権が浮かび上がってきたのである。
 すでに多くの人々が同じ思いでいるようで、ネット上でも話題になっている。
 アメリカでも、トランプ政権に当てはまると問題にされているという。

 こうした兆候を、国民の多くが具体的に感じ取って、それに対抗する姿勢を見せなければ、いつの間にかファシズム体制に移行してしまう。歴史にそうした例がいくつも示されている。
 民主的な手続きを踏んでいるからといって安心できるものではない。ヒトラーのナチス政権だって選挙により国民に選ばれたのだ。
 現政権には、その手口をまねたらよいと公言してはばからない政治家がいる。
 昨年10月の選挙だって、野党が要求した臨時国会、憲法で保障されているところのその臨時国会を、何一つ審議しないままに解散。まさに上記の第14項を地で行っている。
 この憲法違反さえ疑われるような選挙で、その政権を圧倒的に勝たせてしまう国民であってはいけないと思う。

 次の選挙までには2年ほどある。
 我々国民はファシズムを寄せ付けぬ力を持たねばならない。

 






2018年1月16日火曜日

26 我が家の電気、再エネに替えました

昨年10月から、我が家の電気を、加入している生協の提供する電気に替えた。

正確に言えば現段階では完全再生可能エネルギーではなく、70%程度にとどまっているのだが、89%火力発電の現在の会社(東電)に比べれば、確実に環境にやさしい。
何より、将来的にも原子力発電の可能性が全くないというのがよい。

替えたと言っても、別に何をするのでもない。メーターもすでにスマート・メーターに替わっていたので、やったことと言えば、生協への申込書を書いて「お願いします」と配達員に渡しただけ。

配電の仕組みを理解していないと、本当に替わったのかしらと、不安になるくらい。
東電からの請求書が来なくなり、生協の請求書の電気代が記載されるようになったので、「ああ、替わったんだな」と思う。多少ではあるが、料金が安くなった。
 
料金が高くなっても替えるつもりでいたので、安くなるなんて意外だった。
まだ替えていない人たちにも、早く再エネ電力に替えることを進めたい。


            発送電のシステム






 

25 送電線は空いているのに・・・

大手電力会社が再エネ事業をじゃましてる?


 大手電力会社から法外な負担金を要求されて、再エネ事業がピンチだという。
 例えば、福島原発事故被災地、飯館村の村民30人が出資して2014年9月に立ち上げた飯館電力株式会社。太陽光発電、バイオマス発電等からなる小さな電力会社(資本金1830万円、事業費4億円)である。



 その飯館電力は、「送電線が空いていないので」と東北電力から送電線の増強費として21億円を求められたという。4億円の事業費に対して、4倍の設備投資。到底やっていけないと、事業を断念したという。(2017年10月3日TV報道)
 全国ご当地エネルギー協会・飯田哲也理事によれば「送電線の壁に日本全国のご当地電力がぶつかって、事実上新しい発電所をほとんど造れなくなっている」という。

 ところが、実は「送電線が空いていない」というのは、どうも怪しいらしい。


送電線は空いている―京都大学の調査


 京都大学再生可能エネルギー経済学講座の安田陽、山家公雄の両特任教授の分析によれば、
「空き容量ゼロ」として、太陽光や風力による発電設備が新たにつなげなくなっている東北地方の14基幹送電線が、実際には2~18%しか使われていないということが判明したという。(2017年10月10日朝日新聞)
 
 安田、山家の両教授は、電力広域的運営推進機関の公表データ(2016年9月~17年8月)から、東北地方の50万ボルトと27万5千万ボルトの基幹送電線について、1年間に送電線に流せる電気の最大量と実際に流れた量を比較した結果、「空き容量ゼロ」とされる14基幹送電線の利用率は、50万ボルトでは十和田幹線(上北~岩手)が2.0%、北上幹線(岩手~宮城)が3.4%、27万5千ボルトでは秋田幹線(秋田~羽後)11.4%、山形幹線(新庄~西山形)が4.8%などと軒並み低かった。最大の北奥羽幹線(能代~青森)でさえ18.2%と20%に満たなかったのである。




 東北電力が公表している空き容量は、原発など送電線に連なる設備の発電能力の積み上げを基に算出しているが、実際の発電量ははるかに少なく、大きな隔たりが生じていると両教授は分析している。

 欧米では、実際に流れる量をもとにして、送電線の運用ルールや建設計画を進めているという。安田教授は「再生エネ導入には既存設備を有効活用するのが世界の常識」だと言う。

 東北電力は、「公表データは現状に一断面」とし、「送電線の設備計画は、持続予定の電源や将来の需要動向等を考慮して策定している」ので、批判は当たらないとしているようだが、あまりに低い利用率の状況をみると、この説明は全く説得力に乏しい。
 「送電線の空ゼロ」というのは、再エネ事業の新電力会社の撤退を狙うためではないかと思われても仕方がない。

 こうした状況から、新電力事業者たちから、「空いている送電線をもっと有効に使うべきだ」という声が上がって、ようやく経済産業省も既設送電線に再生エネルギーを優先的に接続する検討を始めたという。
 
 経済産業省さん、本当に国民のためになる仕事を、ちゃんとしてください。











24 英原発に日本政府保証1兆円!

 再生可能エネルギー化の方向は、もはや世界の潮流である。
 新しい産業を生み出し、資金もそこに集まってくる。玉川徹氏(テレビ朝日報道局解説員)は、「
脱原発-再エネ化は経済の問題。早く方向転換しないと、日本は負け組になる」と言う。
 再エネ化事業、及びそれに関連する事業の発展は、世界各国で飛躍的な伸びを見せている。それに後ろ向きでは、経済力も低下する。現在の技術・産業構造に固執して、新しい方向に進もうとしない国からは、投資家が離れていくというのだ。

 再エネ化に舵を切った中国は、今や太陽光発電のためのソーラーパネル生産のトップを行く。2015年のソーラーパネルの世界シェアランキングの上位10社のうち7位までが中国企業、2016年のには世界の太陽光発電設備製造の約60%を中国が占めるというデータも出ている。(日本企業の名ははトップ10には見えない。)
 再生可能エネルギーは環境にやさしいばかりではなく、経済的にもメリットがあり、発展途上国でも積極的に導入されている。そうした国々に力を伸ばして、中国経済はますます発展していくだろう。

 一方、我が日本はというと、小泉さんの原発ゼロ法案が発表された翌1月11日、朝日新聞がトップニュースで、日立の英原発事業を日本政府が支援することを報じた。


 日立製作所がイギリスで進める原発2基の事業費3兆円のうち、日立の出資を1/3にとどめ、役2兆円を日英政府が折半して融資、日本分は政府保証を付けるということで、昨年末に日英両政府が大筋合意したというのだ。

 目を疑うばかりである。福島の後始末もできていない日本が、どうして新たな原発を進めるのか。 
 加えて、海外の原発建設は、その国の方針の変更などで計画変更されることもあり、リスクが大きい。つい先ごろは。部となくでも建設計画が中止になり、またアメリカでは東芝が6500億円の損失を出して撤退したばかりではないか。
 政府保証というのは、つまり損害が出た場合は、国が賠償責任を負うということ。それは税金で賄うということで、国民が負担するということである。日立の事業を、なぜ国がそこまで援助するのか。

 原発事業者に対する政府の、「異例の手厚い保護」「リスクの肩代わり」・・・
 日本が沈みゆく船に思えてくる。
 
 

2018年1月12日金曜日

23 小泉さんと一緒に原発ゼロ運動!

 小泉純一郎氏については、ずっといい加減な男だと思ってきた。
 数々の記憶に残る、いい加減な国会答弁。
 年金不払いの時期を追求されたときの「人生いろいろ、仕事もいろいろ」、
 イラク戦争のとき、アメリカが攻撃理由とした大量破壊兵器の存在に対する疑いに対して、「フセインは今行方不明だが、だからといって、存在していなかったということはないでしょう」
 難しい問題への対処について問われたときの「適切に判断します」、さらに適切とはどういうことかと聞かれて「適切は適切です」
 何という不誠実な答弁、と何度も腹が立った。
 しかし今、その小泉さんが、本気で原発ゼロ運動をやっている。


「電事連」、原発即時ゼロ法案を発表


 1月10日、小泉さんが、細川護熙元首相とともに顧問を務める「原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟」(略称:原自連)が、「原発ゼロ・自然エネルギー基本法案」を発表した。(於、衆議院第一議員会館)
 法案は、自ら制作した脱原発映画3本を引っさげて脱原発運動の先頭に立つ河合浩之弁護士(原自連幹事長・事務局長)が中心となって作成したもので、稼働中の原発の即時停止、および停止中の原発の再稼働を一切認めないという法案。原発の新増設ももちろん認めない。使用済み燃料の再処理などの核燃料サイクル事業からも撤退するというものだ。

左から細川顧問、吉原毅会長、河合幹事長、小泉顧問

 政党、政治家にどう働きかけるかという質問に対し、小泉さんは「国民と一緒に原発ゼロの運動として進める」「それを受けてくれるなら、どの政党でもいい。全面的に協力する」と答え、「原発ゼロは近い将来、国民多数の賛同を得て実現する」と語っていた。


野党各党は前向き、自民党は?


 協力要請を受け早速、立憲民主党と共産党が前向きな姿勢を示している。立憲民主党は3月にも法案提出の構えだ。
 自民党は、対応した議員がむずかしいという観測を示したらしい。小泉さんも現政権では方向は変わらないとみているようだ。

 現政権では脱原発を目指すと言いながら、2030年の段階で原発を20%程度のベースロード電源と位置づけており、休止中の原発を次々と再稼働させる方向だ。しかし、小泉さんは現在の構図はそう遠くない将来に大きく変わると予想する。
 「一番早いのは自民党が原発ゼロを進めること。これは不可能ではない。新総理がゼロの方針を打ち出せば自民党はガラッと変わる」
 「自民党が変わらなくても、原発が国会で議論になり、選挙で争点になったときに変化が起きる」

 なんだかおもしろくなってきた。
 今度の国会が楽しみになってきた。
 うまく展開させるには、国民の後押しが必要だ。

さあ、小泉さんと一緒に、原発ゼロ運動をしよう!