2018年1月16日火曜日

25 送電線は空いているのに・・・

大手電力会社が再エネ事業をじゃましてる?


 大手電力会社から法外な負担金を要求されて、再エネ事業がピンチだという。
 例えば、福島原発事故被災地、飯館村の村民30人が出資して2014年9月に立ち上げた飯館電力株式会社。太陽光発電、バイオマス発電等からなる小さな電力会社(資本金1830万円、事業費4億円)である。



 その飯館電力は、「送電線が空いていないので」と東北電力から送電線の増強費として21億円を求められたという。4億円の事業費に対して、4倍の設備投資。到底やっていけないと、事業を断念したという。(2017年10月3日TV報道)
 全国ご当地エネルギー協会・飯田哲也理事によれば「送電線の壁に日本全国のご当地電力がぶつかって、事実上新しい発電所をほとんど造れなくなっている」という。

 ところが、実は「送電線が空いていない」というのは、どうも怪しいらしい。


送電線は空いている―京都大学の調査


 京都大学再生可能エネルギー経済学講座の安田陽、山家公雄の両特任教授の分析によれば、
「空き容量ゼロ」として、太陽光や風力による発電設備が新たにつなげなくなっている東北地方の14基幹送電線が、実際には2~18%しか使われていないということが判明したという。(2017年10月10日朝日新聞)
 
 安田、山家の両教授は、電力広域的運営推進機関の公表データ(2016年9月~17年8月)から、東北地方の50万ボルトと27万5千万ボルトの基幹送電線について、1年間に送電線に流せる電気の最大量と実際に流れた量を比較した結果、「空き容量ゼロ」とされる14基幹送電線の利用率は、50万ボルトでは十和田幹線(上北~岩手)が2.0%、北上幹線(岩手~宮城)が3.4%、27万5千ボルトでは秋田幹線(秋田~羽後)11.4%、山形幹線(新庄~西山形)が4.8%などと軒並み低かった。最大の北奥羽幹線(能代~青森)でさえ18.2%と20%に満たなかったのである。




 東北電力が公表している空き容量は、原発など送電線に連なる設備の発電能力の積み上げを基に算出しているが、実際の発電量ははるかに少なく、大きな隔たりが生じていると両教授は分析している。

 欧米では、実際に流れる量をもとにして、送電線の運用ルールや建設計画を進めているという。安田教授は「再生エネ導入には既存設備を有効活用するのが世界の常識」だと言う。

 東北電力は、「公表データは現状に一断面」とし、「送電線の設備計画は、持続予定の電源や将来の需要動向等を考慮して策定している」ので、批判は当たらないとしているようだが、あまりに低い利用率の状況をみると、この説明は全く説得力に乏しい。
 「送電線の空ゼロ」というのは、再エネ事業の新電力会社の撤退を狙うためではないかと思われても仕方がない。

 こうした状況から、新電力事業者たちから、「空いている送電線をもっと有効に使うべきだ」という声が上がって、ようやく経済産業省も既設送電線に再生エネルギーを優先的に接続する検討を始めたという。
 
 経済産業省さん、本当に国民のためになる仕事を、ちゃんとしてください。











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